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訪問看護からナーシングホームを開設するには?

目次

訪問看護ステーションを運営している事業者や、これから訪問看護事業への参入を考えている方のなかには、次の展開としてナーシングホームの開設を検討している方もいるでしょう。

ナーシングホームは、医療的な支援を必要とする高齢者の生活の場として注目されています。ただし、「ナーシングホーム」という名称で一つの施設指定を受ければ開設できるわけではありません。住宅型有料老人ホームなどの「住まい」と、訪問看護などの「サービス」は制度上分けて考え、それぞれに定められた基準を満たす必要があります。

本記事では、訪問看護事業者がナーシングホームの開設を検討する際に押さえておきたい仕組みや人員基準、事前準備、開設までの流れを紹介します。

訪問看護事業者はナーシングホームを開設できる?

訪問看護事業者がナーシングホーム事業に参入することは可能です。ただし、まず押さえておきたいのが、「ナーシングホーム」が法律上どのような位置付けになるのかという点です。名称だけで判断せず、実際の事業内容に応じて必要な手続きを整理しておきましょう。

ナーシングホームは法律上の正式な施設名称ではない

「ナーシングホーム」は、老人福祉法で独立した施設類型として定められている名称ではありません。一般には、看護や医療との連携体制を整え、医療的な支援を必要とする高齢者を受け入れる住まいを指して使われています。

そのため、ナーシングホームを開設する際は、実際にどの施設類型で運営するのかを明確にする必要があります。住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、選ぶ事業モデルによって必要な届出・登録や満たすべき基準は異なります。

住宅型有料老人ホームなどと訪問看護を組み合わせるのが一般的

ナーシングホームでは、住宅型有料老人ホームなどの住まいと、訪問看護や訪問介護といったサービスを組み合わせる形が一般的です。施設側が、必要な医療・介護サービスをすべて一括して提供するとは限りません。

つまり、「高齢者が暮らす住まい」と「訪問看護サービス」は、制度上それぞれ分けて考える必要があります。同じ事業者が両方を運営する場合でも、それぞれについて人員・設備の基準や届出、指定などを確認しなければなりません。

参照元:厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb6275&dataType=1&pageNo=1)

ナーシングホームに訪問看護が必要とされる理由

ナーシングホームでは、日常生活のサポートに加えて、医療的なケアを必要とする方の入居も想定されます。そうした方が生活の場で療養を続けていくうえで、訪問看護は重要な役割を担います。

医療的ケアを必要とする高齢者の生活を支えられる

訪問看護では、主治医の指示に基づき、看護師などが利用者の居宅を訪問して療養上の世話や診療の補助を行います。ナーシングホームでも、入居者の状態に合わせて訪問看護を利用することで、住み慣れた生活環境のなかで療養を続けやすくなります。

特に、医療ニーズの高い方を受け入れるのであれば、どのような状態の方を対象とし、どこまで対応するのかを開設前に決めておくことが欠かせません。受け入れる入居者像によって、必要な看護体制も変わってきます。

訪問看護の事業所数は増加している

厚生労働省の資料では、医療保険の訪問看護を行う訪問看護ステーションの請求事業所数は、令和2年の11,612事業所から令和6年には16,945事業所へと増加しています。訪問看護の提供体制が全国的に広がっていることがわかります。

ただし、事業所数が増えているからといって、どの地域にも同じだけの需要があるとは限りません。ナーシングホームを開設する地域の高齢者人口や医療ニーズ、既存施設、病院・訪問診療の状況まで確認したうえで事業性を判断することが必要です。

参照元:厚生労働省「訪問看護事業所数と看護職員規模」
(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001567473.pdf)

ナーシングホーム開設前に決めておきたい3つのこと

物件探しや人材採用に動き出す前に、まずは事業の骨格を固めておきましょう。どのような方を受け入れるのか、どの施設類型を選ぶのか、訪問看護をどう運営するのかが曖昧なままでは、必要な建物や人員も具体化できません。

入居対象者と提供する医療・介護サービス

最初に決めたいのは、「どのような方を受け入れる施設にするのか」です。比較的自立度の高い方を中心とするのか、医療依存度の高い方や看取りまで受け入れるのかによって、必要な設備や看護・介護体制は大きく変わります。

対象者を広く設定しすぎると、開設後になって想定以上の人員や設備が必要になることもあります。入居者像を具体的にし、必要となる医療・介護サービスから逆算して施設計画を立てることが、無理のない事業計画につながります。

住宅型有料老人ホームなど施設の類型

次に決めるのが、どの施設類型として運営するかです。有料老人ホームは、老人を入居させ、食事の提供や介護、家事、健康管理のいずれかを行う事業として老人福祉法で定められており、該当する場合は所定の届出が必要です。

大切なのは、「ナーシングホーム」という名称を先に決めることではありません。提供するサービスの内容がどの制度に当てはまるのかを確認し、それに沿って必要な手続きを整理することが先です。自治体ごとに指導指針などが異なる場合もあるため、早めに管轄自治体へ相談しましょう。

参照元:厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb6275&dataType=1&pageNo=1)

訪問看護ステーションの運営方法

ナーシングホームとあわせて訪問看護を提供する場合は、新たに訪問看護ステーションを立ち上げるのか、すでに運営している事業所から訪問するのかを検討します。事業所の所在地や対応エリア、看護職員の勤務体制によって、適した運営方法は変わります。

また、24時間の看護体制を整える場合、訪問看護ステーションの指定を受けるための最低人数だけでシフトを組むのは現実的ではありません。夜間や休日も含めて、無理なく勤務を続けられる人数を事業計画に盛り込むことが必要です。

訪問看護ステーションの開設に必要な人員・設備

ナーシングホームと訪問看護を一体的に運営する場合でも、訪問看護ステーションには所定の人員基準があります。「施設内に看護師がいるから大丈夫」と考えるのではなく、訪問看護事業としての指定基準を確認しておきましょう。

看護職員は常勤換算2.5人以上が基本

指定訪問看護ステーションでは、保健師、看護師または准看護師を常勤換算で2.5人以上配置する必要があります。また、そのうち1人は常勤でなければなりません。これは、訪問看護ステーションを指定・運営するための基本的な人員基準です。

ただし、常勤換算2.5人という基準は、24時間対応のナーシングホームを運営するのに十分な人数を示すものではありません。入居定員や夜間体制、提供する医療ケアの内容を踏まえて、実際の運営に必要な人数を別途算出する必要があります。

参照元:厚生労働省「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa0500)

管理者・事務室などの基準も満たす

訪問看護ステーションには管理者の配置も必要で、原則として常勤で管理業務に従事します。ただし、管理上支障がない場合には、一定の範囲で他の職務との兼務が認められています。人員配置だけでなく、事業所全体の運営体制まで確認しておきましょう。

加えて、事業を行うための設備や備品も準備します。ナーシングホームの建物計画と訪問看護ステーションの指定要件を別々に進めるのではなく、設計段階から双方の条件を確認しておくことで、開設直前の設計変更や手戻りを減らしやすくなります。

ナーシングホームを開設するまでの流れ

ナーシングホームの開設では、事業計画の策定から自治体との調整、土地・建物の準備、人材採用、各種申請まで、複数の準備を並行して進めることになります。手戻りを避けるためにも、建設を先行させるのではなく、運営計画から順に固めていきましょう。

1.地域ニーズを調べて事業計画を作る

まずは、開設を予定している地域の需要を調査します。高齢者人口だけでなく、医療ニーズの高い方を受け入れている既存施設の数や、病院・訪問診療の状況、看護職員を採用できる環境なども確認し、地域でどのようなナーシングホームが求められているのかを整理します。

厚生労働省の標準指導指針でも、有料老人ホームの構想段階では地域特性や需要動向を分析し、計画が具体化した段階で市場調査を行うことが示されています。「入居者が集まりそう」という感覚ではなく、需要を見込める根拠を持って事業計画を立てることがポイントです。

2.自治体へ相談して施設類型を決める

事業の方向性が固まったら、予定地を管轄する自治体へ相談します。住宅型有料老人ホームとして運営するのか、サービス付き高齢者向け住宅とするのかによって、必要な手続きや建物に求められる条件も異なります。

土地や建築計画を先に確定してしまうと、あとから行政上の条件を満たせないことがわかり、計画の見直しが必要になる場合があります。土地の購入や建築契約より先に、施設の制度上の位置付けと必要な手続きを確認しておくと、こうした手戻りを防ぎやすくなります。

3.土地・建物を決めて設計を進める

施設類型や入居定員、必要な看護体制が決まったら、土地と建物の計画を具体化します。入居者が生活しやすい空間を確保するだけでなく、看護・介護を行いやすい動線やスタッフの業務スペース、緊急時の対応まで考えた設計が求められます。

ナーシングホームでは、「建物を建てられるか」だけでなく、「開設後に無理なく運営できるか」という視点で建設会社を選ぶことも大切です。建築費や建設事例、建設会社の選び方については、以下のページで詳しく紹介しています。

4.訪問看護の人員確保と指定申請を進める

建物の準備と並行して、訪問看護ステーションで勤務する看護職員や管理者の採用も進めます。このとき、法定の最低人数だけで考えるのではなく、入居予定者数や想定する訪問回数、オンコール、夜間対応まで含めて勤務体制を組み立てます。

指定申請では、人員体制に関する資料のほか、運営規程など複数の書類が必要です。開設予定日から逆算して採用と申請のスケジュールを組み、人材が予定どおり集まらないケースも想定して準備を進めるとよいでしょう。

5.有料老人ホームの届出と開設準備を進める

住宅型有料老人ホームに該当する場合は、老人福祉法に基づく届出など、施設側に必要な手続きを進めます。あわせて、管理規程や入居契約、重要事項の説明、緊急時の対応方法、医療機関との連携体制など、開設後の運営に必要な仕組みも整えていきます。

厚生労働省の指導指針では、入居者の病状が急変した場合などに備え、協力医療機関との連携内容をあらかじめ取り決めておくことも示されています。建物が完成すれば開設できるわけではなく、入居者を受け入れられる運営体制まで整えて初めてスタートできます。

参照元:厚生労働省「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb6275&dataType=1&pageNo=1)

訪問看護とナーシングホームを一体で運営するときの注意点

ナーシングホームと訪問看護ステーションを同じ事業者が運営すれば、日々の情報共有や連携を進めやすくなります。一方で、同一法人による運営だからこそ気を付けたい制度上のルールもあります。開設前に確認しておきましょう。

入居者には利用する介護・医療サービスを選ぶ権利がある

住宅型有料老人ホームなどでは、施設運営者と関係のある事業者だけに介護サービスの利用を限定したり、特定の事業者を利用するよう誘導したりしないことが求められています。入居者が希望する介護サービスの利用を妨げることもできません。

そのため、自社で訪問看護ステーションを運営していても、「入居者には必ず自社の訪問看護を利用してもらう」という前提で事業計画を立てるのは適切ではありません。入居者本人の選択を尊重しながら、必要なサービスを提供できる体制を整える必要があります。

24時間対応をするなら法定基準以上の採用計画が必要

ナーシングホームで「24時間看護」を掲げるのであれば、夜勤や休日を含めて勤務体制を組まなければなりません。訪問看護ステーションの指定に必要な常勤換算2.5人という基準だけをもとに採用計画を立てると、実際にはシフトが回らない可能性があります。

入居者数や必要な医療ケア、夜間の対応件数などを想定したうえで、指定に必要な最低基準と、実際の施設運営に必要な人数は分けて考えることが大切です。採用に時間がかかることや退職者が出る可能性も踏まえ、余裕を持った体制を検討しましょう。

同一建物への訪問看護は最新の報酬制度を確認する

ナーシングホーム内の複数の入居者に訪問看護を提供する場合は、同一建物に居住する利用者への訪問看護について、最新の報酬体系を確認しておく必要があります。2026年度診療報酬改定では、この同一建物への訪問看護に関する評価方法が見直されました。

具体的には、1か月当たりの訪問日数や同一建物に居住する利用者数に応じた評価へ変更され、同一敷地内にある建物も同一建物として扱う規定が設けられています。以前の報酬体系を前提にした収益モデルをそのまま使わず、最新の報酬制度を反映して収支を試算する必要があります。

参照元:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 同一建物に居住する利用者への訪問看護の評価の見直し」
(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001680924.pdf)

ナーシングホームの開設では建物計画も早めに進めよう

訪問看護を組み合わせたナーシングホームを開設するには、施設類型を決め、人員基準を満たすだけでは足りません。どのような方を受け入れ、どの医療・介護サービスを提供するのかを整理したうえで、その運営に合った建物を計画する必要があります。

特に新築の場合は、土地選びや設計、建設費、工期が、資金計画や開設時期にも大きく影響します。厚生労働省の有料老人ホームの指導指針でも、土地関係費や建築関係費、開業準備費などの初期投資を詳しく検討し、長期的な資金収支計画を立てることが示されています。

建設会社を選ぶ際も、単に建物を施工できるかだけでなく、医療・介護施設ならではの動線や設備を理解し、開設後の運営まで見据えて相談できるかを確認したいところです。事業計画と建物計画を別々に進めず、実際の運営から逆算しながら並行して検討しましょう。

Three Selections
愛知の介護事業者向け
福祉施設建設会社3選
住宅型有料老人ホーム
(ナーシングホーム)
の建設なら
タチ基ホーム
タチ基ホーム公式HPキャプチャ
引用元:タチ基ホーム公式HP(https://tachiki-home-tci.com/works/)
建設の特徴

名古屋市を中心に愛知・岐阜で年間約5棟の医療・福祉施設の実績あり(2026年1月調査時点)※1。木造建築に特化して35年。仕入れ値や人件費を抑え、鉄骨造などと比べて坪単価で約30万円ほど削減できる。

事業サポート

グループ会社が訪問看護ステーションや有料老人ホームを運営。 介護関連の資格者であるスタッフが、直近の医療・福祉制度を踏まえ、開設前のサポートなど幅広く対応。

建設事例
タチ基ホームの建設事例写真
引用元:タチ基ホーム公式HP(https://tachiki-home-tci.com/works/)
種別 住宅型有料老人ホーム
(ナーシングホーム)
規模 26室
所在地 愛知県名古屋市守山区
障がい者向け
グループホーム
の建設なら
グッドホーム
グッドホーム公式HPキャプチャ
引用元:グッドホーム公式HP(https://good-home-fukushi.com/works)
建設の特徴

調整区域に福祉施設を建てるためのノウハウを持ち、土地コストを削減しつつ、幅広い建設地選定が可能。競合他社と土地を取り合う必要がなくなり、競争力強化につながる。

事業サポート

障がい者向けグループホームを自社運営し、現場での課題に精通。入居者募集・スタッフ採用・人員の配置まで実践的にサポート。

建設事例
グッドホームの建設事例写真
引用元:グッドホーム公式HP(https://good-home-fukushi.com/works)
種別 障がい者GH
規模 記載なし
所在地 記載なし
サービス付き
高齢者向け住宅
の建設なら
ネイブレイン
ネイブレイン公式HPキャプチャ
引用元:ネイブレイン公式HP(https://nabrain-fukushi.com/construction/service/entry-30.html)
建設の特徴

愛知・岐阜エリアで年間10棟以上のサ高住を手掛ける実績(2021年の実績)※2から、建物を規格化。
入居者が厚生年金の範囲内で無理なく払える家賃を起点に建設費を逆算し、事業としての安定性を優先した経営プランを提案します。

事業サポート

賃料保障のついた賃貸管理サービスを提供。日本管理センターと損保会社との提携で、保証賃料に保険がついており、収益性を担保※3

建設事例
ネイブレインの建設事例写真
引用元:ネイブレイン公式HP(https://nabrain-fukushi.com/construction/service/entry-20.html)
種別 サ高住
規模 記載なし
所在地 愛知県豊橋市

※1参照元:タチ基ホーム公式HP(https://tachiki-home-tci.com/
※2参照元:ネイブレイン公式HP(https://www.apart-kk.jp/s-grouphome/operator
※3参照元:ネイブレイン公式HP|保証を受ける条件の詳細は、直接お問い合わせください。(https://nabrain-fukushi.com/lineup/service-home/